ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたM57(環状星雲) | アストロピクス

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたM57(環状星雲)

この画像に映っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したM57です。「環状星雲」とも呼ばれるM57は、こと座の方向、約2000光年の距離にあります。星雲の中心には「白色矮星」と呼ばれる高温の星の核が見えています。フランスの天文学者アントワーヌ・ダルキエ・ド・ペルポワによって1799年に発見されました。

太陽程度の質量の恒星は、年老いると赤色巨星になります。やがて赤色巨星の外層のガスが宇宙空間へ放出されていき、星の周りにガスが広がります。中心に残された白色矮星などからの紫外線によって、周囲のガスが電離して輝くのが惑星状星雲です。

M57は、地球から見ると単純な楕円形の星雲に見えます。しかしハッブル宇宙望遠鏡などの観測データから、この星雲はゆがんだドーナツのような形をしていることがわかりました。ドーナツの穴にあたる領域は、実際には低密度のガスがラグビーボールのような形に分布しています。

画像の色は星雲の化学組成を示しています。中央の濃い青はヘリウム、リングの内側の明るい青は水素と酸素、リング外側の赤みがかった色は窒素と硫黄によるものです。

こちらの動画は、まず地上から見た夜空から始まり、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたM57の画像にズームインしていきます。動画の後半は、星雲の構造を示す3Dモデルです。Credits: NASA, ESA, and G. Bacon, F. Summers and Mary Estacion (STScI)

Main Image Credit: NASA, ESA and the Hubble Heritage (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration

(参照)NASAESA/Hubble