蝶の羽のようにガスが広がる「ツインジェット星雲」 〜 30 Years, 30 Images #7(1997年)

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた惑星状星雲M2-9。「ツインジェット星雲」とも呼ばれます。へびつかい座の方向、2100光年の距離にあります。

M2-9では蝶の羽が広がるように、それぞれ反対の2方向へとガスが伸びています。このように中心星からガスが反対の2方向に放出されているような星雲は「双極星雲」と呼ばれます。

M2-9は時間とともに大きくなっていることが分かっており、星雲が形成され始めたのは1200年ほど前ではないかとみられています。

太陽と同じくらいの質量の星は、進化の最終段階で赤色巨星となり、やがて星の外層からガスが放出されて広がっていき、中心に星の“芯”が残されます。周囲に広がったガスが中心の星からの紫外線を受けて電離して輝いているのが惑星状星雲です。

惑星状星雲は、中心星から球殻状にガスが広がっているものなど、さまざまな形のものが存在します。M2-9の中心には、非常に近い距離を公転する、連星をなす2つの星が存在していることで、2方向へと広がる特徴的な形になっていると考えられています。

ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ30周年(2020年4月24日)に向けて、NASA(アメリカ航空宇宙局)は「30 Years, 30 Images」と題して、これまでハッブルが撮影してきた画像から各年1枚ずつ選んで公開しています。

30 Years, 30 Images

冒頭の画像はその7枚目のもので、1997年にリリースされた画像です。

Image Credit: Bruce Balick (University of Washington), Vincent Icke (Leiden University, The Netherlands), Garrelt Mellema (Stockholm University), and NASA

https://www.flickr.com/photos/nasahubble/49575224728/in/album-72157713228021437/

https://hubblesite.org/contents/media/images/1997/38/563-Image.html