
ハッブル宇宙望遠鏡が、干潟星雲(M8)の中心部をとらえた画像です。干潟星雲は、4000光年の距離にあります。ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ(1990年4月24日)28周年を記念して、2018年4月に公開された画像です。
大質量星が幻想的な光景を作り出した
画像中央付近には、「ハーシェル36」と呼ばれる若い大質量星があります。その星から噴き出す強烈な紫外線と恒星風が、画像に見られる幻想的な光景を作り出しています。
ハーシェル36は、太陽の32倍の質量があり、太陽より8倍も高温の星です。直径は太陽の9倍ほどもあります。100万歳というまだ若い星で、非常に活発に活動しています。恒星は質量が大きいほど寿命が短くなります。質量から考えて、ハーシェル36の寿命はあと500万年ほどとみられます。私たちの太陽があと50億年ほど寿命が残っているのと比較すると、大質量のハーシェル36は非常に短命です。
大質量星の近くでは、強烈な紫外線や恒星風によって星の形成が抑えられています。一方、高密度のガスと塵の雲の中では、星の形成が進みつつあります。象の鼻のような暗い領域は、紫外線に侵食されにくく、生まれたばかりの星を育てる“繭(まゆ)”のような役割を果たしています。
ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ30周年(2020年4月24日)に向けて、NASA(アメリカ航空宇宙局)は「30 Years, 30 Images」と題して、これまでハッブルが撮影してきた画像から各年1枚ずつ選んで公開しています。冒頭の画像はその28枚目のものです。
Image Credit: NASA, ESA, and STScI

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