ハッブル望遠鏡がとらえた「小あれい状星雲」 打ち上げ34周年記念画像!

ハッブル宇宙望遠鏡は1990年4月24日に打ち上げられて以来、34周年をむかえました。画像は34周年を記念して公開されたもので、ペルセウス座にあるM76が映っています。M76は、地球から3400光年離れたところにある惑星状星雲です。M27(あれい状星雲)に似ていることから、M76は「小あれい状星雲」とも呼ばれています。

太陽程度の質量の星は、年老いるとふくらんで赤色巨星になります。やがて星の外層のガスが宇宙空間へと放出され、そのガスが中心に残った星の「芯」からの紫外線によって輝いているのが惑星状星雲です。中心の星の芯はいずれ高密度で高温の白色矮星になります。

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リング構造の上下に広がる双極状のガス

M76の中央部には棒状の構造が見られます。これはガスのリングを真横から見ているために棒状に見えているものです。そのリングの上下方向に噴き出したガスが双極状に見えています。

リングはかつて伴星だった星の影響によって形成されたとみられています。放出された物質が、伴星の軌道面に沿ってガスと塵からなる分厚い円盤を形成したのです。伴星は見つかっておらず、中心星に飲み込まれた可能性があります。

ガスと塵のリングの上下から、リングに垂直な星の回転軸に沿って、高温ガスが時速320万kmもの速度で放出されています。この激しい恒星風は、赤色巨星だったころに放出された低温でゆっくり動くガスに吹き込んでいます。

星雲の中心付近には白色矮星が映っています。この白色矮星の温度は、太陽の表面温度の24倍に相当する約12万℃。その超高温の白色矮星からの強烈な紫外線によって、M76は輝いています。赤は窒素、青は酸素を示しています。M76の輝きは、およそ1万5000年ほどで失われるとみられています。

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5万3000以上の天体が観測されてきた

ハッブル宇宙望遠鏡は1990年の打ち上げ以来、5万3000以上の天体について160万回の観測を行ってきました。現在、アーカイブには研究・分析に利用可能な184テラバイトの処理済みデータが保管されているとのことです。

ハッブル宇宙望遠鏡は部品の一部が老朽化し、近年は姿勢制御を行うジャイロの不具合やコンピューターシステムの不具合など、トラブルが散発的に発生しています。そのような中で技術者や科学者からなるチームができるだけ長く稼働させる努力を続けつつ、観測が行われています。

ハッブル宇宙望遠鏡の歴代の周年記念画像についてはこちらをご覧ください。

(参考記事)ハッブル宇宙望遠鏡 〜 打ち上げまでの経緯と5回の保守ミッション

Image credit: NASA, ESA, STScI, A. Pagan (STScI)

(参照)HubblesiteESA/Hubble