初期宇宙の銀河は思ったより成熟していた

Credit: B. Saxton NRAO/AUI/NSF, ESO, NASA/STScI; NAOJ/Subaru

「ALPINE(ALMA Large Program to Investigate C+ at Early Times)」と呼ばれる国際共同研究プロジェクトは、初期宇宙で成長途中にある118個の銀河をアルマ望遠鏡で調査しました。その結果、銀河の多くは予想より大量の塵や金属元素(水素、ヘリウムより重い元素のことを天文学では「金属元素」といいます)を含んでおり、これまで考えられていたよりも成熟していたことが明らかになりました。

宇宙が誕生したばかりの頃は、水素やヘリウムなど軽い元素しか存在していませんでした。宇宙で最初に形成された世代の星は、そのような軽い元素で作られました。重い元素は星の内部や超新星爆発などによって作られます。

塵や金属元素は、恒星が死ぬ際に副産物として銀河内に放出されます。初期宇宙の銀河は、宇宙誕生からそれほど時間が経過していないために多くの星を作る時間がなく、初期宇宙の銀河で観測される塵や金属元素は少量だと考えられていました。

しかし、今回調査された初期宇宙における銀河のうち、約20%はすでに非常に多くの塵を含んでおり、生まれたばかりの星からの紫外光の多くが星間塵によって吸収されていました。

Credit: B. Saxton NRAO/AUI/NSF, ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), ALPINE team

この画像は、アルマ望遠鏡を使って電波で観測した銀河のうちの2つです。大量の塵(黄)が含まれていました。赤は銀河に含まれるガスを示しています。

観測した銀河の多くはまた、回転円盤銀河となる兆候を含む多様な構造を示していました。初期宇宙の銀河は頻繁に衝突することから雑然とした形状に見えると予想されてきました。衝突している銀河は多いものの、一方で衝突の影響を受けずに規則正しく回転しているものも多いことが分かりました。冒頭のイラストは、大量の塵を含んだ回転円盤銀河の想像図です。

ALPINEは、研究者が初期宇宙にある多数の銀河を観測することを可能にした初めてのプロジェクトです。今回の結果は、銀河がこれまで考えられていたよりも早く進化した可能性があることを示しています。しかし、それらの銀河がどのようにしてこれほど早く成長したのか、なぜ一部の銀河がすでに回転円盤を持つのかについては分かっていません。

ALPINEはアルマ望遠鏡の電波による観測データのほか、ハッブル宇宙望遠鏡やハワイのケック望遠鏡、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)の可視光のデータ、スピッツァー宇宙望遠鏡の赤外線データなど、多波長のデータによって研究が進められています。

(参照)アルマ望遠鏡

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