アルマ望遠鏡がとらえた天王星のリング | アストロピクス

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アルマ望遠鏡がとらえた天王星のリング

上の画像は、アルマ望遠鏡がとらえた天王星の大気とリングの画像を合成したものです。2017年12月に観測されました。いずれも天王星の大気やリングが放つ電波をとらえたものです。天王星の大気の暗い部分は、硫化水素など電波を吸収する分子が存在している領域を示しています。

天王星には13本のリングがあることが知られています。ただし、有名な土星のリングとは異なり、どのリングも細くて暗いものばかりです。天王星のリングが初めて確認されたのは1977年のことでした。リングの光を直接とらえたわけではなく、リングが遠方の星からの光を隠す「掩蔽観測」と呼ばれる手法により確認されたのです。1986年にはNASA(アメリカ航空宇宙局)のボイジャー2号が天王星に最接近した際にリングを直接観測しましたが、リングの温度の測定はできていませんでした。

2017年から2018年にかけて、アルマ望遠鏡と、ESO(ヨーロッパ南天天文台)の超大型望遠鏡VLTとを使って天王星のリングの観測が行われました。アルマ望遠鏡ではリングが放つ電波を、VLTでは赤外線をとらえました。それにより天王星のリングの温度が初めて測定され、絶対温度77K(マイナス196℃)であることが分かりました。

木星や海王星にも薄いリングがありますが、それらは主に小さな塵でできています。ボイジャー2号の観測から、天王星で最も明るく高密度のイプシロン・リングには、小さな塵が存在していないことが指摘されていました。今回の観測から、イプシロン・リングには小さな塵は存在しないことが確かめられました。

Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO); Edward M. Molter and Imke de Pater)

https://alma-telescope.jp/news/press/uranus-201906

https://public.nrao.edu/news/2019-alma-rings-uranus/