複数の銀河団が合体しつつある現場 ハッブル望遠鏡が撮影 | アストロピクス

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複数の銀河団が合体しつつある現場 ハッブル望遠鏡が撮影

この画像に映っているのは、「eMACS J1353.7+4329」と呼ばれる銀河団です。この天体は少なくとも2つの銀河団からできており、合体して単一の銀河団になる過程にあります。りょうけん座の方向、約80億光年の距離にあります。

合体して一つの銀河団になると、強力な重力レンズとして機能するようになるとみられます。重力レンズは、アインシュタインの一般相対性理論から導かれる現象です。銀河団のような巨大な質量をもつ天体は、周囲の時空を大きくゆがませます。そのため光の経路が、レンズを通過したときのように曲げられます。

重力レンズは遠方の天体を拡大することもできるので、重力レンズがなければ検出できないような遠方の暗い天体を観測できるようになります。重力レンズはまた、遠方の天体の像をゆがませたり、引き伸ばしたりすることがあります。冒頭の画像でも、弧状に引き伸ばされた遠方銀河が見えています。

画像はハッブル宇宙望遠鏡のACS(掃天観測用高性能カメラ)とWFC3(広視野カメラ3)で撮影されたもので、2023年7月10日にハッブル望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開されました。

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, H. Ebeling

(参照)ESA/Hubble