天の川銀河の上下方向にある巨大な泡構造は爆発的な星形成によるものか

ドイツのX線望遠鏡eROSITAによる全天画像。eROSITAは、ロシアとドイツの共同ミッションであるSRG(Spectrum Roentgen Gamma)衛星に搭載された望遠鏡。Image Credit: MPE/IKI
ドイツのX線望遠鏡eROSITAによる全天画像。この画像では上側に泡のような構造がはっきり見えています。eROSITAは、ロシアとドイツの共同ミッションであるSRG(Spectrum Roentgen Gamma)衛星に搭載された望遠鏡。Image Credit: MPE/IKI

天の川銀河の上下方向には「eROSITAバブル」と呼ばれる巨大な泡構造があることが知られています。この泡構造は、銀河を取り囲むガス(銀河周辺物質[CGM])内に存在しています。

従来の研究では、この泡は銀河から外へ噴き出すガスの衝撃により加熱されているとみられていました。オハイオ州立大学などの研究チームは、日本のX線衛星「すざく」の観測データを使い分析を行いました。研究によると、泡の内部と外部とで温度に大きな違いがないことが示唆されました。またこの泡が非常に明るいのは高温だからではなく、高密度ガスで満たされているためであることも示しました。

研究チームはまた、天体物理的な現象によって泡が形成されたことを強く示唆する結果を得ました。これは、銀河系中心の超巨大ブラックホールの活動ではなく、銀河系中心で起きた爆発的な星形成活動によって泡が形成されたとする仮説を支持するものです。【1分で読む宇宙ニュース】

Image Credit: ESA/Gaia/DPAC; CC BY-SA 3.0 IGO. Acknowledgement: A. Moitinho.

(参考記事)X線観測で天の川銀河の南にも巨大な泡構造を発見!

(参照)Ohio State News