太陽から4.2光年の距離にある隣の恒星プロキシマ・ケンタウリ(ケンタウルス座プロキシマ)。2016年、この星を公転する惑星「プロキシマb」が発見されました。上の画像は、プロキシマbの想像図です。この発見は、南米チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)ラ・シヤ天文台の3.6m望遠鏡に設置された「HARPS」という分光器の観測によるものでした。
今回、ESOのVLT(超大型望遠鏡)に設置された「ESPRESSO」という新しい分光器の観測によって、プロキシマbは質量が地球の1.17倍(従来の推定値は1.3倍)で、11.2日で公転するハビタブル・ゾーンに位置していることが確認されました。
太陽系外惑星を観測するには、主に「トランジット法」「視線速度法(ドップラー法)」という2つの方法があります。トランジット法は恒星の手前を惑星が横切るときの恒星の明るさの変化を観測する方法で、NASA(アメリカ航空宇宙局)の系外惑星探査衛星TESSはトランジット法で観測を行なっています。一方、視線速度法は惑星の重力の影響で恒星がふらつくのをとらえる方法で、HARPSとその後継器のESPRESSOは視線速度法で系外惑星の探査を行います。なおESPRESSOは2017年に運用を開始しました。
プロキシマbの公転軌道は、地球と比べて20分の1ほどの近い距離にあります。赤色矮星であるプロキシマ・ケンタウリの表面温度が低いため、プロキシマbには(もし存在するならば)水が液体の状態で存在しうる場所があるとみられています。ただプロキシマ・ケンタウリは活動的な星で、地球の約400倍のX線をプロキシマbに浴びせており、生命にとっては過酷な環境のようです。
ESPRESSOによる高精度の測定から、原因のはっきりしない第2のシグナルが発見されています。このシグナルが惑星起源のものだとすると、その惑星は地球の3分の1以下の質量になり、視線速度法で発見された中では最小の惑星となるとのことです。
Image Credit: ESO/M. Kornmesser