太陽系の八つの惑星は、ほぼ同じ軌道面内を、太陽の自転と同じ向きに公転しています。ただ太陽以外の恒星では、中心星の自転方向と惑星の公転方向が大きくずれているケースが多数観測されています。
デンマークのオーフス大学や東京工業大学などの研究者からなるチームが、すばる望遠鏡などを使って観測したところ、太陽系外惑星系「K2-290」では中心星の自転方向と逆向きに二つの惑星が公転していることが分かりました。
二つの惑星はほぼ同一平面内を公転していることから、この惑星系では原始惑星系円盤が存在していた頃から、中心星の自転方向と円盤の回転方向が逆行していた可能性が高いと考えられます。またK2-290には、100au(太陽〜地球間の距離の100倍)ほどのところに小さな伴星が存在していることが、すばる望遠鏡の観測によって確認されていました。
研究チームは、これらの事実を踏まえて数値計算を行いました。その結果、K2-290の惑星の逆行軌道は、伴星の重力によって原始惑星系円盤が大きく傾けられたことに起因する可能性が高いことが分かりました。
伴星の重力により原始惑星系円盤の向きが劇的に変化するというモデルは、理論的には10年近く前に提唱されていました。ただその観測的証拠が発見されたのは初めてのことで、連星をなす惑星系の形成や進化の過程を考える上で重要な意味を持つとのことです。
(参照)すばる望遠鏡