55億光年先の宇宙で超巨大な「キングギドラ超銀河団」を発見

すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム(HSC)」を用いた大規模観測のデータから、約55億光年先の宇宙で巨大な超銀河団が発見されました。国立天文台と広島大学を中心とした研究チームによる研究成果です。50億光年以遠の宇宙で確認されたなかでは最大の超銀河団で、論文ではこの超銀河団のことを「キングギドラ超銀河団」と呼んでいます。

100個〜1万個程度の銀河が重力で結びついた集団を「銀河団」と呼びます。銀河団はさらに集まって「超銀河団」を形成します。私たちの天の川銀河は「おとめ座超銀河団」内にあり、そして、おとめ座超銀河団は「ラニアケア超銀河団」と呼ばれるより大きな銀河団を構成しています。

今回検出されたのは、3つのダークマター密集領域を中心に、少なくとも 19の銀河団で構成された超銀河団構造です。シミュレーションとの比較から、この超銀河団には太陽の10の16乗倍の質量のダークマターが存在していることが示唆されています。これは、おとめ座超銀河団の10倍に匹敵するほどです。そのすぐ外側にも超銀河団相当の巨大構造が2つ確認されており、ラニアケア超銀河団のような超巨大構造の前身である可能性があるとのことです。

冒頭の画像は、すばる望遠鏡のHSCがとらえた超銀河団領域です。中央の画像に描かれた等高線は銀河の密度、淡い赤色はダークマターが密集する領域を示しています。周囲の枠内は、中央の画像で番号が付けられた銀河団(小さな白四角)を拡大したもの。

Image Credit: 国立天文台

(参照)すばる望遠鏡