地球防衛ミッションのターゲット 小惑星ディディモスの“月”の名が「ディモルフォス」に | アストロピクス

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地球防衛ミッションのターゲット 小惑星ディディモスの“月”の名が「ディモルフォス」に

DARTの想像図。右下にはLICIACubeも描かれている。Image Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben

※DART探査機については「探査機を衝突させて小惑星の軌道を変える世界初のミッション『DART』」で、小惑星ディディモスとディモルフォスについては「DARTの目的地、小惑星ディディモスとディモルフォスはどんな天体?」でより詳しく紹介しています。(2022年9月26日追記)

IAU(国際天文学連合)は2020年6月23日、ディディモスという小惑星を周回する“月”の名称を「ディモルフォス」とすることを承認したと発表しました。ディディモスは直径780mほど、それに対してディモルフォスは直径160mほどの小さな天体です。

小惑星をまわるこの“月”は今、NASA(アメリカ航空宇宙局)とESA(ヨーロッパ宇宙機関)のミッションのターゲットとなっています。

2021年7月には、NASAがDART(Double Asteroid Redirection Test)ミッションを打ち上げます。DARTは、衝突の可能性がある危険な小惑星から地球を守るために、小惑星の進行方向を変化させる技術をテストするためのミッションです。

2022年にディモルフォスへ到着したのち、DARTをディモルフォスに衝突させます。その後、地上の望遠鏡で観測を行い、衝突の前後でディモルフォスの軌道周期がどれくらい変化したのかを調べます。またDARTの衝突は、衝突の数日前にDARTから分離されるキューブサット「LICIACube」によって記録されることになっています。

ヘラの想像図。Image Credit: ESA - ScienceOffice.org

2024年にはESAのヘラが打ち上げられます。ヘラは2027年にディモルフォスへ到着し、2機のキューブサットとともに、ディモルフォスを詳しく調べる予定です。

なお、ディディモスとディモルフォスが地球に衝突する危険性はありません。

ディモルフォスはこれまで「ディディモスB」「ディディムーン」などと呼ばれてきました。「ディモルフォス」という名は、DARTとヘラの両方に関わる、テッサロニキ・アリストテレス大学のKleomenis Tsiganis氏が提案したもので、ギリシア語で「2つの形」あるいは「2つの形を持つ」という意味の言葉です。ディモルフォスはDARTの衝突の前後で異なる形がみられることになることから、その名を提案したとのことです。

参照:IAUNASAESA