火星のクレーターや亀裂、水の痕跡の地形をマーズ・エクスプレスがとらえた | アストロピクス

火星のクレーターや亀裂、水の痕跡の地形をマーズ・エクスプレスがとらえた

この画像は、火星のシレヌム大陸の一部を、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の火星探査機マーズ・エクスプレスがとらえたものです。クレーターや亀裂など、さまざまな地形がこの1枚の画像の中に見られます。2022年4月5日に撮影されたもので、2022年10月26日にESAのウェブページで公開されました。

画像で最も目立っているのは、画面左半分にある直径70kmの大きなクレーターです。クレーターの内部には、風によって作られた地形が見られます。クレーターの下側(東側)には「ヤルダン」と呼ばれる侵食地形が確認できます。クレーター内の暗い色の部分は、風によってクレーターの平らな底部に運ばれたものかもしれません。

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水の痕跡

画像左端近くにみられる、曲がりくねった谷は幅が1.8kmにも及びます。この谷は、東側(画像下側)の盆地でとけた水が流れた跡だと考えられています。画面右側(北側)には「樹枝状谷」と呼ばれる複雑な谷が見られます。かつて火星に降った雨や雪によって形成されたと考えられています。

こちらは冒頭の画像に映る大きなクレーター内にある直径20kmのクレーターを俯瞰で見たものです。ESAによれば、そのクレーターと奥にあるクレーターの構造や輪郭は、隕石衝突が起きた際にこの地域が水か氷に覆われていたことを示唆しているとのことです。またそれらの画像の底面には、氷河の痕跡も見られます。

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地殻変動の跡

画像左端の曲がりくねった谷と平行に、長い亀裂が伸びています。これは「グラーベン(地溝)」と呼ばれる地形で、2つの断層の間にできた溝です。

冒頭の画像には溶岩の痕跡も見られます。北側(右側)のクレーターの底には、溶岩の層の形跡が残っています。また画像右下には「リンクルリッジ」と呼ばれる地形が映っています。これは地殻変動によってシート状溶岩が圧縮され隆起が生じてできたものです。

Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin, CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)ESA