隕石衝突で火星の地下の氷が溶けて流れた跡か!?

火星のユートピア平原にあるヘパイストス・フォッサ(Hephaestus Fossae)を、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の火星探査機マーズ・エクスプレスがとらえた画像です。ヘパイストス・フォッサはエリシウム山の西側に600km以上にわたり伸びています。画像は2007年12月28日に撮影されました。

画像に映る地表のほとんどは滑らかで、直径800〜2800mのクレーターがいくつか見られます。さらに小さなクレーターが全体的に散在しています。画像左側には直径20kmの大きなクレーターが映っています。この大きなクレーターの周囲には、縁を取り囲むように衝突時の噴出物が花びら状に取り囲んでいます。このような噴出物は小さなクレーターには見られません。

火星の水のほとんどは氷の形で地下に存在しています。花びら状の噴出物とクレーター周辺のアウトフロー・チャネル(河川状の地形)は、隕石衝突によって地下に埋れた氷が溶けた可能性を示唆しています。小さなクレーターではそれらは見られず、地下の氷まで達するほど激しい衝突ではなかったと考えられます。

これは大きなクレーターと、その周囲にある花びら状の噴出物の領域を斜めから見た画像です。

こちらはアウトフロー・チャネルを斜めから見た画像です。液体が流れてできたような地形も映っています。

なおユートピア平原やエリシウム山の位置については、過去記事「火星の高度マップ」に掲載した地名入り高度マップをご覧ください。

Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum), CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)ESA