マゼラン探査機がとらえた金星のディキンソン・クレーター | アストロピクス

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マゼラン探査機がとらえた金星のディキンソン・クレーター

画像に映っているのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の金星探査機マゼランが1996年11月にとらえた金星のディキンソン・クレーターです。

ディキンソン・クレーターは、金星のアタランタ平原北東部にあります。クレーターの直径は約69km。西側を除き、クレーターの周囲に隕石衝突時の噴出物が広がっています。これは隕石が西側から斜めに衝突したためかもしれません。なおクレーター名は、19世紀のアメリカの詩人にちなんで名付けられたものです。

金星は全体が分厚い雲に覆われており、可視光では宇宙から金星表面を見ることができません。マゼラン探査機は、雲を透過するレーダーを使って観測を行いました。1989年5月に打ち上げられたマゼラン探査機は1990年8月に金星の周回軌道に入り、1994年10月まで観測を行いました。

なお金星ではクレーターはあまり多くありません。5億〜10億年ほど前に表面の多くが溶岩で覆われてしまい、それ以前のクレーターが残っていないためと考えられています。また金星では小さなクレーターはみられません。分厚い大気によって小さな隕石は地上に到達する前に燃え尽きてしまうためです。

画像はNASA(アメリカ航空宇宙局)のウェブページで、2022年6月7日付の「今日の1枚(Image of the Day)」として紹介されたものです。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)NASA