15年にわたるレーダー観測で金星の精確な自転周期が明らかに | アストロピクス

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15年にわたるレーダー観測で金星の精確な自転周期が明らかに

15年間にわたるレーダー観測によって、金星の自転周期や地軸の傾き、核の大きさを突き止めたとする研究が、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の研究チームによって発表されました。

地球の1つ内側を公転する金星は半径6052kmで、地球(半径6371km)と似たようなサイズの岩石惑星です。二酸化炭素を主成分とする分厚い大気におおわれており、表面付近の気圧は90気圧にもなります。

レーダーでの観測によると、金星の自転周期は平均で243.0226日(地球日)とのことです。また金星の自転速度は常に変動しており、時期によって少なくとも20分の差があることが分かりました。

そのような変動の原因は金星の大気にあるとみられています。金星大気は固体の表面との間で運動量を交換することで自転を速くしたり遅くしたりしているのです。そのような現象は地球でも発生していますが、速度の増減は1日あたりわずか1ミリ秒とのことです。金星は大気の量が多いため、影響が大きくなっているのです。

研究チームはまた、金星の自転軸が2.6392度傾いていると報告しています(地球は約23度)。その値はこれまでの推定値の10倍の精度です。地球の歳差運動が2万6000年周期なのに対し、金星の歳差運動は2万9000年周期であること明らかになったとのことです。

ちなみに金星は地球とは逆向きに自転しています。地球は北極側から見ると反時計回りに自転していますが、金星は時計回りになっているのです。また243日ほどかけて自転している間、金星は公転によって移動します。自転と公転の関係で、金星の1昼夜(日の出から次の日の出まで)は約117日になっています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)UCLA