小惑星アポフィスは今後100年以上は地球に衝突しないことが判明

地球近傍小惑星アポフィス(99942 Apophis)は、地球に衝突する可能性のある最も危険な小惑星の1つとされ、2068年に地球に衝突する可能性がわずかながらにあると考えられていました。しかし最新の観測と分析から軌道がより正確に決定され、少なくとも今後100年間は衝突の危険性はないとNASA(アメリカ航空宇宙局)が発表しました。

小惑星アポフィスのレーダー画像。2021年3月8日、9日、10日に観測されたものです。

2004年に発見されたアポフィスは直径約340mと推定されています。2029年や2036年に接近する際に衝突する可能性もかつて取り沙汰されていましたが、それらは否定されていました。ただ2068年に衝突する可能性はわずかに残っていました。

2021年3月5日、アポフィスが地球から約1700万kmのところを通過しました。その際に行われたレーダー観測によってアポフィスの軌道が極めて正確に推定され、2068年に衝突する危険性が排除されました。少なくとも今後100年間は衝突の危険性がないことが示されたのです。

これまでアポフィスは、NASA/JPL(ジェット推進研究所)のCNEOS(地球近傍天体研究センター)が管理している「Sentry Impact Risk Table」に掲載されていました。これは衝突の可能性が否定できない小惑星をリスト化したものです。今回の発見により、アポフィスはその表から外されることになりました。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech and NSF/AUI/GBO

(参照)JPL