惑星はいつ誕生する? アルマ望遠鏡で惑星形成の最初期段階をとらえた | アストロピクス

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惑星はいつ誕生する? アルマ望遠鏡で惑星形成の最初期段階をとらえた

星形成過程のどの段階で惑星系が形成されるのか。その問いに答えるべく、アルマ望遠鏡を使って、星形成開始から1万〜10万年程度の初期段階にある原始星周囲の円盤の系統的な観測が行われました。

地球から約650光年以内にある19の原始星のまわりの円盤を、0.04秒角という高い空間分解能で観測した結果、より進化した星と同様、原始星の周囲には円盤が存在することが確認されました。

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惑星系形成は、星形成開始後10万〜100万年にかけて急速に進む

連星系4天体を含む原始星19天体の周囲の円盤の画像。左上の円盤ほど若く、右下ほど進化が進んでいます。最も進化したいちばん右下の2つの円盤では、淡いリングとギャップの構造がみられます。灰色の実線は、20天文単位(au)の長さを示しています。なお1天文単位は太陽〜地球間の距離に相当する約1億5000万km。20天文単位は、太陽系でいうと太陽から天王星までの距離(約19.19天文単位)に相当します。Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), N. Ohashi et al.
連星系4天体を含む原始星19天体の周囲の円盤の画像。左上の円盤ほど若く、右下ほど進化が進んでいます。最も進化したいちばん右下の2つの円盤では、淡いリングとギャップの構造がみられます。灰色の実線は、20天文単位(au)の長さを示しています。なお1天文単位は太陽〜地球間の距離に相当する約1億5000万km。20天文単位は、太陽系でいうと太陽から天王星までの距離(約19.19天文単位)に相当します。Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), N. Ohashi et al.

星形成開始から100万〜1000万年程度の若い星のまわりにある原始惑星系円盤には、同心円状の塵のリングの間にギャップ(間隙)がみられます。そのようなリングやギャップは、今回観測された19天体中、比較的進化が進んだ数天体の円盤のみでみられました。しかもそのリングやギャップは非常に淡いものでした。

また今回観測された天体では、多くの円盤で惑星の材料となる塵が円盤面に沈殿しておらず、円盤面上空に巻き上げられた状態にあることもわかりました。より進化した原始惑星系円盤は厚みが薄いことが知られており、塵の沈殿が進んで惑星形成の準備ができている段階にあると考えられています。

20近い原始星周囲の円盤の詳細な構造が系統的に調べられたのは今回の研究が初めてのことでした。今回の観測から、惑星系形成は、星形成開始後10万〜100万年くらいにかけて急速に進むと考えられるとのことです。

原始星の周囲の円盤の想像図。Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)
原始星の周囲の円盤の想像図。Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

(参照)アルマ望遠鏡