ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測により、超新星爆発を起こした天体の周囲の物質に、大量の塵が含まれていることが明らかになりました。発見された塵の質量は、初期宇宙で超新星が塵を宇宙に供給するのに重要な役割を果たしていたとする理論を支持するものでした。
観測されたのは、地球から2200万光年の距離にある渦巻銀河NGC 6946で発生したSN 2004etとSN 2017eawです。NGC 6946では、過去100年の間に超新星が10個ほど観測されましたが、SN 2004etとSN 2017eawはそのうちの2つで、これらはどちらもII型超新星です。II型超新星は大質量星が起こす大爆発で、1987年に大マゼラン銀河で観測されたSN 1987AもII型超新星でした。
こちらの画像は、ウェッブ望遠鏡のMIRI(中間赤外線装置)でSN 2004et(左)とSN 2017eawをとらえたものです。青はより高温、赤はより低温の塵を示しています。SN 2017eawは比較的高温で塵も少ないですが、13年後にはSN 2004etと同じように見えるだろうと予想されています。
地球5000個分の質量の塵が発見された
塵は、惑星などを形成するための構成要素です。超新星は、宇宙における塵の発生源の1つである可能性があると考えられてきました。超新星爆発の後、残ったガスが広がり、低温になって塵が生成されます。ただこれまで実際にそれが確認されたのは、大マゼラン銀河でおきたSN 1987Aのみでした。
ウェッブ望遠鏡の観測からは、塵の量が膨大であることもわかりました。SN 2004etでは、地球質量の5000倍もの量の塵が見つかりました。これはSN 1987A以来、超新星で検出された質量としては最大とのことです。まだ検出されていない低温の塵が存在する可能性もあります。
宇宙の比較的初期の頃の若い銀河にも、多くの塵が存在していることがわかっています。太陽程度の質量の星が老化すると塵を供給するようになりますが、それによって塵が供給されるには銀河が若すぎます。大質量星は寿命が短く、短期間で大量に爆発して多くの塵を供給した可能性があります。今回観測された2つの超新星について、この段階でこれほどの量の塵が存在することは、塵が爆発の内部衝撃波に耐えられることを示唆しており、超新星が重要な塵工場であることの証拠となるとのことです。
Main Image Credit: Science: NASA, ESA, CSA, Ori Fox (STScI), Melissa Shahbandeh (STScI); Image Processing: Alyssa Pagan (STScI)