観測史上最遠! ショートガンマ線バーストの可視光残光を検出

宇宙で最大の爆発現象ともいわれるガンマ線バースト。数十ミリ秒から数百秒というごく短い時間に膨大なエネルギーが放たれる現象です。2秒以上継続するものは「ロングガンマ線バースト」、それ以下のものは「ショートガンマ線バースト」と呼ばれます。

2018年11月23日、NASA(アメリカ航空宇宙局)のニール・ゲーレルズ スウィフト天文台(スウィフト衛星)によってショートガンマ線バースト「GRB181123B」が検出されました。直後に世界中に連絡され、数時間以内にハワイ、マウナケア山頂にあるジェミニ北望遠鏡がその天体に向けられました。そしてジェミニ北望遠鏡によって、非常にかすかな可視光残光が検出されました。上の画像は、その可視光残像をとらえたものです。

別の望遠鏡を使ったその後の追跡観測の結果、その天体が約100億光年の距離にあることが判明しました。これまでに検出されたショートガンマ線バーストの中で2番目に遠く、可視光残光がとらえられたものとしては最も遠い天体であることが分かったのです。重力波で検出される場合を除き、ジェットが地球に向いているときだけガンマ線バーストを検出することができます。

大質量星の連星が超新星爆発を経て中性子星の連星となり、それらが合体することでショートガンマ線バーストが生じるとみられています。今回ショートガンマ線バーストが検出されたのは、宇宙がまだ若く、星が急速に形成され銀河が急成長していた時代です。その時代にショートガンマ線バーストが生じたことは、2つの中性子星が合体するまでにどれくらいの時間がかかるのか、またこの時期の宇宙における中性子星どうしの合体の割合といったことについての天文学者の理解に変更を迫ることになる可能性もあるとのことです。

Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/K. Paterson & W. Fong (Northwestern University)
Acknowledgements:
Image processing: Travis Rector (University of Alaska Anchorage), Mahdi Zamani & Davide de Martin

https://www.nationalastro.org/news/gemini-observatorys-quick-reflexes-capture-fleeting-flash/