
南米チリのセロ・パチョン山の山頂で建設が進められてきたベラ・C・ルービン天文台では2025年4月25日に試験観測(ファーストライト)に成功。6月23日に画像が初めて公開されました。上の画像はそのうちの1枚で、中央下に干潟星雲(M8)、右上に三裂星雲(M20)が映っています。678枚の画像を合成したもので、2つの星雲のほか、散開星団M21や球状星団NGC 6544なども映っています。


これらは、冒頭の画像の中の干潟星雲と三裂星雲のクローズアップです。干潟星雲は、いて座にある、差し渡し100光年ほどの巨大なガスと塵の雲です。三裂星雲は、手前にある暗黒星雲によって三つに分かれているように見えることからそう呼ばれています。
ルービン天文台では2025年後半から大型プロジェクトを開始
ルービン天文台に設置されている口径8.4mの光学赤外線望遠鏡には、32億画素の史上最大のデジタルカメラ「LSSTカメラ」が搭載されています。8m級の望遠鏡としては最大の視野があり、満月45個分の範囲を一度に観測できます。
ルービン天文台では、2025年後半から「時空間レガシーサーベイ(Legacy Survey of Space and Time: LSST)」をスタートします。このプロジェクトでは、10年間にわたり南半球の空全体を繰り返し撮影します。ダークマターやダークエネルギーの謎に迫るほか、天の川のマッピングも行います。また数夜ごとに空全体を観測するので、遠方の星に対して移動する太陽系内の天体(小惑星や彗星など)や、時間の経過とともに明るさが変わる天体(超新星爆発や変光星など)なども新たに発見・観測されると期待されています。
Image Credit: NSF–DOE Vera C. Rubin Observatory