ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使って、天の川銀河の最外縁部にある星形成領域が調査されました。それは「Digel Cloud(ディーゲルクラウド)1」「Digel Cloud(ディーゲルクラウド)2」と呼ばれる分子雲にある星形成領域で、天の川銀河の中心から6万〜7万光年、地球から4万〜5万光年離れたところにあります。
ウェッブ望遠鏡は、Digel Cloud 1A、1B、2N、2Sという4つの星形成領域を観測しました。冒頭の画像は、Digel Cloud 2Sをとらえたもので、最も初期段階にある天体(クラス0天体)候補や、若い星から噴き出す複数のジェット、星形成領域を取り囲む星間ダストの構造(星雲)などが鮮明に映し出されています。天の川銀河の最果てにある星形成領域を鮮明にとらえることに成功したのは初めてです。
すばる望遠鏡で観測されていた天体をウェッブ望遠鏡で調査
天の川銀河の最外縁部は、星間物質に含まれる重元素の割合が太陽系の近傍と比べて少なく、誕生からまもないころの天の川銀河の環境と似ていると考えられています。そのような始原的な環境で、どのように星が誕生するのか、また太陽系近傍での星形成と違いがあるのかといった謎に迫るため、すばる望遠鏡を使って研究が進められていました。
すばる望遠鏡によって検出された、天の川銀河の最外縁部での複数の星形成領域のうち、分子雲Digel Cloud1、2に付随する星形成領域は最も遠方に位置するものでした。それらの星形成領域を今回、ウェッブ望遠鏡を使って観測したのです。
研究チームは、個々の星の性質のほか、ジェットや星間ダストの構造を詳細に検証し、天の川銀河の形成初期にどのような星形成が起きていたのかを解明したいと考えているとのことです。
Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, M. Ressler (NASA-JPL)