同じ時刻の満月でも、日本とアメリカでは月面の見える範囲が少し違う!?

今日7月21日は満月です(19時17分)。日本から観察しても、アメリカから観察しても満月として見えます。しかし、実は場所によって、地球から見える月面の範囲が微妙に異なります。このようなことは、視差によって生じます。

近くにあるものを見るとき、右目と左目を交互に閉じると、やや異なる角度で見えていることが分かります。また、ビルなどを別々の離れた場所から見ると、ビルの見た目が異なって見えます。同じように、地球上の離れた場所から同じ時刻に満月を見ると、その見た目が視差によって少しだけ見える範囲がずれるのです。

こちらは、2023年3月7日、東京から見た満月と、アメリカのヒューストンから見た満月を比較したものです。月面の見えている範囲や見かけの大きさが微妙に異なっています。

視差の効果はそれだけではありません。背景の星空に対する月の位置も異なって見えます。こちらも東京とヒューストンでの見え方を比較したものです。

東京とヒューストンでは、1人で同時に満月を見ることはできませんが、同じような視差の効果を1人で体験する方法があります。別の時刻の月を観察するのです。月の出から月の入りまでの間に、地上の観察者は、地球の自転によって地球の片側から反対側へと運ばれます。月の出の直後の満月と、月の入りの直前の満月では、月面の見える範囲が異なります。このような視差は「日周秤動」とも呼ばれます。

NASA(アメリカ航空宇宙局)のウェブページによれば、このような視差は、月までの距離を測定するために、2000年以上にわたり使われたとのことです。現在は、レーザーを使って非常に正確に月までの距離が測定されています。

Image Credit: NASA's Scientific Visualization Studio

(参照)NASA's Scientific Visualization Studio