この画像に映っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた矮小不規則銀河NGC 5238です。NGC 5238は、りょうけん座の方向、1450万光年の距離にあります。画像には、NGC 5238の星々や球状星団が映っているほか、背景には遠方の銀河も多数映りこんでいます。
NGC 5238は、形状の歪みが見られることから、ここ10億年以内に別の銀河と接近遭遇したと考えられています。NGC 5238のそばには、その歪みの原因となりそうな別の銀河はないため、NGC 5238に飲み込まれた小さな衛星銀河が犯人ではないかとする説もあります。
かつて別の銀河を飲み込んだのかどうか。その痕跡としては、次の2つのようなことが考えられます。1つは、銀河の大部分の星と比べて異なる性質をもつ星の集団です。そのような星の集団は、もともと別の銀河で形成された可能性があります。もう1つは、銀河の合体中に、突然ほぼ同時に形成されたようにみえる星々です。ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたデータは、そのような予測を分析するために使われます。
画像はハッブル望遠鏡のACS(掃天観測用高性能カメラ)で撮影されたもので、ハッブル望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」として2024年7月15日に公開されました。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, F. Annibali
(参考)「ハッブル今週の1枚」記事一覧
(参照)ESA/Hubble