JAXA(宇宙航空研究開発機構)は5月29日、金星探査機「あかつき」との通信が途絶していると発表しました。
「あかつき」は2010年5月21日に打ち上げられた探査機です。当初、同年12月7日に金星の周回軌道へ投入される予定でしたが、メインエンジンの不具合により軌道投入に失敗しました。ミッション自体が失敗に終わったと見られましたが、その後、姿勢制御用エンジンを利用して2015年に金星の周回軌道への投入に成功しました。その成功は、奇しくも2010年に軌道投入に失敗したのと同じ12月7日のことでした。
実は「あかつき」の設計寿命は打ち上げ後4年半。金星軌道投入時にはすでにそれを越えていました。それにもかかわらず、軌道投入から数えても8年以上にわたり観測を行ってきました。
JAXA宇宙科学研究所によれば、2024年4月末の運用において、姿勢維持の精度が高くない制御モードが長く続いたことを発端として通信を確立できなくなったとのことです。現在、通信の回復に向け復旧運用を行なっています。
今後の対応について宇宙科学研究所は、すでに設計寿命を超えていることなども踏まえて検討していくとしています。
(参照)JAXA宇宙科学研究所