1990年代前半に金星をレーダーで観測したマゼラン探査機のデータから、当時、金星で火山活動が起きていたとする研究が発表されました。
マゼラン探査機は、NASA(アメリカ航空宇宙局)が1989年5月に打ち上げた金星探査機です。1990年から1992年にかけて、合成開口レーダーを使い金星表面の98%をマッピングしました。金星表面のデータとしては、マゼラン探査機を超えるものはいまだ得られていません。
イタリア、ダンヌンツィオ大学のDavide Sulcanese氏らは、マゼラン探査機の合成開口レーダーのアーカイブデータについて、1990年と1992年のデータを比較しました。分析の結果、金星のアイストラ地域にあるシフ山と、多くの火山地形が存在するニオベ平原の西部の2つの領域で、新たな岩石の形成を示唆する変化が見られました。火山活動以外の可能性も検討した末に、その変化は2年の間に発生した火山活動によって溶岩が固まったものだとの結論に至ったとのことです。
研究チームは、新たな溶岩の深さは平均3〜20mであると推定しています。またシフ火山の噴火によって約30平方kmの溶岩が生成され、一方、ニオベ平原の噴火では45平方kmの溶岩が生成されたと推定しています。
2023年にも、異なる時期のマゼラン探査機のデータを利用して、金星のマート山で1991年に火山活動が起きていたとする研究が発表されています。今回の研究はそれに続くもので、研究チームは、金星が現在も地質学的に活発であることを支持するさらなる証拠だとしています。
(参考記事)金星には現在も火山活動が存在している!?(2023年の研究を紹介した記事です)
Image Credit: NASA/JPL
(参照)NASA