JAXA(宇宙航空研究開発機構)は3月4日、X線分光撮像衛星XRISMが定常運用に移行したと発表。同時に超新星残骸SN 1006の画像など初期観測成果を公開しました。
超新星残骸SN 1006のX線画像
こちらは定常運用への移行の発表時に公開されたもので、XRISMに搭載された軟X線撮像装置Xtend(エクステンド)でとらえられた超新星残骸SN 1006のX線画像です(背景は可視光画像)。SN 1006は西暦1006年、紫式部や藤原道長が生きていた時代に夜空で輝いた超新星の残骸で、おおかみ座の方向、約7000光年の距離にあります。その後、1000年あまりの時を経て、SN 1006は直径65光年もの大きさの球状の天体となり、現在も秒速5000kmで膨張し続けています。
ペルセウス座銀河団のX線スペクトル
こちらはXRISMの軟X線分光装置Resolve(リゾルブ)でとらえたペルセウス座銀河団の中心部のスペクトル。ペルセウス座銀河団は地球から約2億4000万光年の距離にある、X線で非常に明るく輝く巨大銀河団です。非常に詳細なスペクトルが取得されています。
XRISMは、2023年9月7日に小型月着陸実証機SLIMとともにH-IIAロケットで打ち上げられました。10月7日からは観測装置の機能確認と調整が進められ、2024年1月5日には初画像が公開されていました。
今後の定常運用では、観測機器の特長を活かす天体観測や、観測精度を高めるための較正・初期性能検証を実施するとしています。その後、世界中の研究者からの観測提案に基づいた天体観測がスタートします。
(参考記事)X線天文衛星XRISM、銀河団と超新星残骸をとらえた初画像を公開
(参照)X線分光撮像衛星XRISM