天の川銀河の球状星団M4で、中間質量ブラックホールの候補天体が発見されました。
宇宙に存在するブラックホールは、太陽の数倍程度の質量の恒星質量ブラックホールと、銀河中心にある太陽の数百万〜数十億倍の質量の超大質量ブラックホールが知られています。中間質量ブラックホールは、それらの間の質量をもつ、太陽の100〜10万倍程度の質量のブラックホールです。これまで候補天体は多数見つかっていますが、決定的なものはまだ確認されていません。
STScI(宇宙望遠鏡科学研究所)のEduardo Vitral氏らの研究チームは、地球から6000光年の距離にある球状星団M4を観測したハッブル宇宙望遠鏡の12年分のデータから星々の動きを調査。その結果、大きな質量が集中した非常にコンパクトな領域を発見しました。
研究チームは、その領域が太陽の800倍の質量を持つ中間質量ブラックホールである可能性があると考えています。Vitral氏によれば、恒星質量ブラックホールや中性子星、白色矮星の集団だとすると、数値シミュレーションでは再現できないほど小さい領域だとのことです。単一の中間質量ブラックホールでない場合、直径わずか10分の1光年の空間に、40個ほどの小さなブラックホールが詰め込まれている必要があるとしています。
「ブラックホールが1つであると考える以外、説明できないほど小さい。あるいは、現在の物理学では私たちが単に知らない恒星のメカニズムがあるのかもしれません」(Vitral氏)
Image Credit: ESA/Hubble, NASA
(参照)Hubblesite