宇宙の果てにある最遠の若い銀河団を確認 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測成果

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測によって、ビッグバンから6億5000万年後の宇宙で原始銀河団が確認されました。これは現在確認されている中で最も遠い銀河団です。この原始銀河団は最終的に、かみのけ座銀河団のような巨大銀河団に発展すると考えられています。カリフォルニア工科大学IPAC(赤外線画像処理・解析センター)の森下貴弘氏らの研究チームによる成果です。

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分光観測で7つの銀河の距離が一致

画像は「パンドラ銀河団」と呼ばれる銀河団Abell 2744をウェッブ望遠鏡がとらえたもので、原始銀河団を構成する7つの銀河が右側の枠内で拡大表示されています。

7つの銀河は以前、ハッブル宇宙望遠鏡の「フロンティア・フィールド」プログラムのデータから、観測候補とされていたものです。「フロンティア・フィールド」プログラムでは、2012年から17年にかけて銀河団の重力レンズ効果を利用して遠方宇宙の探索が行われました。ウェッブ望遠鏡は、ハッブル望遠鏡の観測で候補となった天体に焦点を当てて分光観測を行いました。

ウェッブ望遠鏡に搭載されたNIRSpec(近赤外線分光器)により銀河までの距離を正確に測定したところ、7つの銀河が同じ距離にあることが判明しました。また銀河がダークマターハローの中を秒速約1000km以上の速度で移動していることが確認されました。数値シミュレーションによると、最終的に数千もの銀河から構成されるかみのけ座銀河団のような巨大な銀河団になると予測されました。

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ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡に期待

研究チームは、2027年の打ち上げを目指すNASA(アメリカ航空宇宙局)のナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡によって、宇宙初期の銀河団の研究がさらに進展すると考えています。ローマン望遠鏡は、1度の赤外線観測でハッブル望遠鏡の200倍に及ぶ視野を調べることができます。ローマン望遠鏡によって、より多くの原始銀河団候補が特定され、それらをウェッブ望遠鏡で分光観測を行い確認していくことができるようになると期待されています。

Image Credit: NASA, ESA, CSA, T. Morishita (IPAC), A. Pagan (STScI)

(参照)Webb Space TelescopeESA/WebbCaltech