可視光と赤外線でとらえた土星の衛星タイタン

これらの画像に映っているのは、どちらも土星最大の衛星タイタンです。2005年4月16日にカッシーニ探査機によって撮影されたもので、1枚目は赤、緑、紫のフィルタを通して撮影した画像を合成して人間が見たときの色が再現されています。2枚目は、2枚の赤外線画像(938、889ナノメートル)と可視光画像(420ナノメートル、紫)を組み合わせて作成された擬似カラー画像です。

タイタンはつねに同じ面を土星に向けています。この画像に映っているのは土星とは反対側の面です。可視光では、1枚目の画像のようにタイタンの表面を見ることはできません。オレンジ色のもやがタイタン全球を覆っているためです。

一方、赤外線で見ると表面が見えてきます。2枚目の画像で、緑は表面が見える領域を示しています。赤は、大気中のメタンが太陽光を吸収している高高度の成層圏を示しています。タイタンの外縁にそって見える青色は、可視光の紫の波長を表しています。紫の波長では、タイタンの上層大気や、より高空に漂うもやがよく見えます。

合成する前の元画像は、カッシーニ探査機がタイタンから約17万3000km〜16万8200kmの距離にある時に撮影されました。

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute

(参照)Planetary Photojournal(1)(2)