「グリーンピース」銀河とよく似た銀河をウェッブ望遠鏡が初期宇宙で発見

2009年、スローン・デジタル・スカイ・サーベイの画像から、「グリーンピース」という愛称を付けられた緑色の小さな銀河がいくつも発見されました。グリーンピース銀河は非常に小さく、差し渡し5000光年ほどしかありません。銀河の光のかなりの部分が明るく輝くガス雲から来ています。サイズの割に星形成が非常に活発なため、紫外線で明るく輝きます。

2022年7月、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した「SMACS 0723」と呼ばれる銀河団の画像が公開されました。この銀河団の質量は、より遠方にある銀河の像を拡大したり歪めたりする「重力レンズ」の役割を果たします。

SMACS 0723の奥にある最も暗い銀河の中に、グリーンピース銀河の遠縁に当たる可能性があるようにみえるコンパクトな赤外線天体が発見されました。ウェッブ望遠鏡のNIRSpec(近赤外線分光器)で得られた分光データからは、酸素、水素、ネオンが放つ波長の光が、近くにあるグリーンピース銀河と非常に似ていることがわかりました。

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ウェッブ望遠鏡がとらえた宇宙初期の「グリーンピース」

冒頭の画像の白枠内で拡大されているのが、グリーンピース銀河とよく似た特性を示す3つの銀河です。宇宙初期のこれらの「グリーンピース」は、宇宙が現在の年齢(138億年)の約5%だったころ(約131億年前)に存在していたとみられます。左の枠内のグリーンピースは3つの中で最も遠い銀河で、天の川銀河のような銀河とくらべ酸素の存在量が2%ほどしかありません。これまで発見されたなかで化学的にみて最も原始的な銀河である可能性があります。あとの2つは天の川銀河の約20%の酸素を含んでおり、典型的なグリーンピース銀河に似ています。

Image Credit: SDSS and NASA, ESA, CSA, and STScI
Image Credit: SDSS and NASA, ESA, CSA, and STScI

左はスローンディジタルスカイサーベイで撮影されたグリーンピース銀河、右はウェッブ望遠鏡がとらえた銀河の赤外線画像です。左は約1億7000万光年の距離にある「J122051+491255」と呼ばれる、直径4000光年ほどの典型的なサイズのグリーンピース銀河です。

Main Image Credit: NASA, ESA, CSA, and STScI

(参照)NASA