この画像は、土星探査機カッシーニが撮影したもので、土星の衛星エンケラドスとその周辺が映っています。エンケラドスの南極付近では、地下にあると見られる海から氷の粒などが噴き出しています。暗く見えるエンケラドスの下側の明るい部分は、その噴出物が太陽光を散乱して光ってみえている領域です。
エンケラドスから噴出した物質の一部は土星を周回する軌道に乗り、ドーナツ状の形をしたEリング(環)を形成します。画像全体がぼんやりと明るいのは、Eリングを構成する粒子に太陽光が散乱しているためです。エンケラドスの10時の方向には、Eリングに落ちるエンケラドスの影が伸びているのが映っています。
画像の撮影時、太陽-エンケラドス-探査機がなす角度は164度で、かなり逆光に近い照明条件でした。エンケラドスの影は左上方向に伸びているように見えますが、実際にはカッシーニ探査機の方向、つまり手前側へと伸びています。
画像は2006年8月11日に、カッシーニ探査機の狭角カメラで撮影されました。撮影時、カッシーニ探査機はエンケラドスから約220万kmの距離に位置していました。
Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute
(参考記事)カッシーニ探査機がとらえた土星のEリング