赤色矮星のハビタブルゾーンにあるスーパーアースを発見!

地球から約100光年の距離にある赤色矮星LP 890-9で、スーパーアースが2つ発見されました。これら2つのスーパーアース(LP 890-9 b、LP 890-9 c)のうち、外側を公転するLP 890-9 cは、表面に液体の水が存在可能なハビタブルゾーンに位置しています。

赤色矮星LP 890-9を公転する太陽系外惑星はもともと、NASA(アメリカ航空宇宙局)のトランジット惑星探索衛星TESSによって発見されました。TESSは、惑星が恒星の手前を横切ったときの明るさの変化を観測する衛星です。

LP 890-9ではTESSによる観測で周期約2.73日の減光が見つかり、トランジット惑星候補「TOI-4306.01」として2021年7月に世界に公開されました。その後、日本のMuSCATチームと、ベルギーのSPECULOOSチームによってそれぞれ独立に、TOI-4306.01の追観測(発見確認観測)が行われました。

MuSCATチームは、ハワイ・マウイ島のハレアカラ観測所に設置された4色同時撮像カメラ「MuSCAT3」と、ハワイ島にあるすばる望遠鏡の「IRD(赤外線ドップラー装置)」による観測から、2021年10月までにTOI-4306.01が惑星(LP 890-9 b)であることを確認しました。

一方、SPECULOOSチームもSPECULOOS望遠鏡による観測でLP 890-9 bを確認しました。またその後、2021年10月、11月にTOI-4306.01とは別の周期の減光を発見しました。MuSCATチームとも協力してさらに観測を行い、それがもう1つの惑星(LP 890-9 c)であり、公転周期が約8.46日であることが判明しました。

LP 890-9 bの半径は地球の1.32倍、LP 890-9 cの半径は地球の1.37倍と推定されています。この大きさの惑星は、地球よりやや大きな岩石惑星(スーパーアース)と考えられます。

外側を公転するLP 890-9 cはハビタブルゾーンに入っています。赤色矮星LP 890-9は、表面温度が約2600℃で、太陽の15%ほどの半径しかありません。そのため、恒星のごく近いところがハビタブルゾーンになっているのです。なおLP 890-9は、これまで惑星が検出された恒星の中では、有名なTRAPPIST-1についで2番目に低温の星です。

LP 890-9 cがどのような環境なのかはまだ分かりません。ただ惑星が恒星の手前に来た際に、惑星大気を通過した恒星の光を観測することで、大気組成などを調べることができます。宇宙望遠鏡による今後の追観測で、大気のようすなどが明らかになると期待されています。

Image Credit: アストロバイオロジーセンター/MuSCATチーム

(参照)東京大学University of Birmingham