NASA(アメリカ航空宇宙局)の小惑星探査機オシリス・レックスは、小惑星ベンヌ(ベヌー)で採取したサンプルをもって地球へ向かっています。そのオシリス・レックスによるベンヌのクレーターの観測から、ベンヌの表面を覆うボルダー(岩、岩塊)が、小さな隕石の衝突からベンヌを守っていることが明らかになったとする研究が最近発表されました。
ベンヌでは2〜3m以下では小さいクレーターほど数が少ない
月や水星、小惑星など、大気の(ほぼ)ない太陽系の多くの天体ではクレーターの数から表面の年齢を推定することができます。クレーターは時間とともに数が増えるので、クレーターの数が多いほうが、クレーターの少ない表面よりも年代が古いことがわかるのです。
衝突してクレーターを作る天体は、小さいものほど数が多く存在しています。そのため大きなクレーターよりは小さいクレーターの方が数が多いのが一般的です。
ベンヌでは、クレーターが大きくなるほど数が少なくなっています。これは一般的な天体と同じ傾向です。しかし2〜3mより小さいクレーターでは、小さくなるほど数が少なくなっていました。
研究チームは、ベンヌの表面を覆うボルダーが「装甲」となり、小さな天体が衝突してクレーターができるのを妨げていると考えています。衝突の衝撃はクレーターを作る代わりに、表面のボルダーを破壊したり割ったりする可能性が高いとのことです。衝突によるボルダーの破壊によって、ベンヌでは継続的に表面の更新が発生していると考えられています。
Image Credit: NASA/Goddard/University of Arizona
(参照)NASA