ルーシー探査機のターゲットの1つ、トロヤ群小惑星ポリュメーレーに衛星を発見 | アストロピクス

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ルーシー探査機のターゲットの1つ、トロヤ群小惑星ポリュメーレーに衛星を発見

現在、木星のトロヤ群小惑星の観測を目指すNASA(アメリカ航空宇宙局)のルーシー探査機が航行を続けています(ルーシー探査機について詳しくは→「木星のトロヤ群小惑星を目指す探査機ルーシー」)。そのルーシー探査機のターゲットの1つ、木星のトロヤ群小惑星ポリュメーレー((15094) Polymele)が衛星を持っていることが明らかになりました。

太陽系内の天体が遠方にある恒星の手前を通過し、恒星を隠す現象を「掩蔽」といいます。複数の地点から掩蔽を観測すると、恒星の隠れ方が場所により少しずつ異なることから、たとえば小惑星の大きさや形を知ることができます。

ポリュメーレーによる恒星の掩蔽が、2022年3月27日に発生することが事前に予測されていました。そこでポリュメーレーの位置や大きさ、形状をこれまでにない精度で測定するべく、掩蔽が観測できる複数の地点に26のチームが分散して観測を行うことが計画されました。この観測キャンペーンは大成功をおさめ、ポリュメーレーに関する貴重な情報が得られました。

26チームのうち14チームが掩蔽を観測。そのうち2チームが観測したのは衛星(右)による掩蔽現象でした。
26チームのうち14チームが掩蔽を観測。そのうち2チームが観測したのは衛星(右)による掩蔽現象でした。

小惑星が手前を通過した際に恒星が点滅する現象を、14のチームが報告しました。データを分析したところ、そのうち2チームの観測が他とは異なることがわかりました。ポリュメーレーから約200km離れたところにある衛星が、恒星の光を隠していたのです。衛星の直径は約5kmと見積もられました。

ルーシー探査機は当初、小惑星帯にある小惑星1つと、木星のトロヤ群小惑星6つの計7つの小惑星を訪れることを計画していました。その後、2021年1月にはハッブル宇宙望遠鏡の観測によりエウリバテス((3548) Eurybates)に衛星ケータ(Queta)が発見されました。今回発見された衛星を含め、ルーシー探査機は合計9つの天体を観測することになります。

Image Credit: NASA's Goddard Space Flight Center

(参照)NASA