南北両半球の夜空を1枚に収めた不思議な星夜写真

一見すると、水面に星空が映っているようにも見えるこの画像ですが、よく見るとどうもそうではないことが分かります。

この画像は、2021年9月13日にESO(ヨーロッパ南天天文台)の「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開されたものです。ESOのウェブページにある説明によると、この画像は北半球と南半球の夜空を1枚の画像に収めたものとのことです。現実にはみることができない光景を表しています。

北半球と南半球のほぼ同じ緯度にある別々の天文台で、2人の写真家がそれぞれ撮影した2枚の画像をデジタル処理でつなぎ合わせることで、この画像は作られました。

画像の上半分は北緯29度に位置する、カナリア諸島のラパルマ島にあるカナリア天体物理学研究所ロケデロスムチャーチョス天文台で撮影されたものです。一方、下半分は南緯29度に位置する、ESOラ・シヤ天文台で撮影された画像です。

画像中央付近で垂直に伸びる白い光が目立ちますが、これは太陽系内に存在する塵が太陽光を散乱することで生じる現象で「黄道光」と呼ばれています。北半球の黄道光の中に見られる明るい星は金星です。

北半球の画像で天の川よりも下側には、金星の右上にアンドロメダ銀河、黄道光の近くにプレアデス星団、その左上にオリオン座などが見えています。またオリオン座の左上に見える明るい星は、おおいぬ座シリウスです。

一方、南半球の画像には、左上に小マゼラン銀河、右上にこと座のベガが映っています。また天の川の中に南十字や、ケンタウルス座アルファ星、ベータ星などが見えています。

Image Credit: P. Horálek & J. C. Casado / ESO

(参照)ESO