この画像は、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の火星探査機マーズ・エクスプレスが、「イスメニア・パテラ(Ismenia Patera)」と呼ばれる地形を撮影したものです。イスメニア・パテラは、かつて大規模な火山活動があったと考えられている火星のアラビア大陸にあります。
「パテラ」とは通常、複雑あるいは不規則な形をした深い火山性のクレーターのことを指します。ただし火星のアラビア大陸にあるイスメニア・パテラは、隕石衝突によって形成されたものなのか、あるいはスーパーボルケーノ(超巨大火山)が崩壊してできたものなのか、その起源は分かっていません。
イスメニア・パテラは直径75kmほどあります。中心部は、近くで起きた隕石衝突の際に飛んできた岩の塊などで取り囲まれています。また衝突によって放出された物質によって形成された小さな窪みも見られます。溝状の地形がクレーターの縁から底面にかけて蛇行しており、それらは流れや動きを示す平らな氷の堆積物でおおわれています。寒冷で乾燥した気候の中で長い年月をかけて形成された、岩石や氷を多く含む氷河のようなものと見られています。
画像は2018年1月1日に撮影されました。
Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin, CC BY-SA 3.0 IGO
(参照)ESA