ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影したこの画像では、下の方にある渦巻銀河LEDA 2046648が目立っていますが、その他にも数多くの銀河が画面いっぱいに散りばめられています。それらの銀河は、形がはっきりとわかるものから、小さなシミのようなものまで、実にさまざまです。LEDA 2046648は、ヘルクレス座の方向、地球から10億年強の距離にあります。
ウェッブ望遠鏡の科学目標の1つは、遠方(=古い)の銀河を観測して、銀河の形成や進化、組成などを理解することです。遠方の銀河からの光は宇宙の膨張にともなって赤外線の波長の方へ赤方偏移するため、ウェッブ望遠鏡による赤外線観測は遠方銀河の観測に適しています。銀河の「化石」を最近の銀河と比較することで、銀河がどのように成長して現在見られるような構造を形成したのかを理解するのに役立ちます。また、銀河の化学組成を調べることで、銀河の進化につれて重元素がどのように形成され増えてきたのかを知ることができます。
この画像は、ウェッブ望遠鏡に搭載されたNIRISS(近赤外線画像装置・スリットレス分光器)という観測装置の試運転の際に、NIRCam(近赤外線カメラ)で撮影されたものです。NIRISSは、NIIRCamとの並行観測が可能です。冒頭のの画像は、NIRISSで白色矮星WD1657+343を観測している間に撮影されました。
ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の画像)」として画像を公開しています。この画像は2023年1月のPicture of the Monthとして、1月31日に紹介されたものです。
Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Martel