天の川銀河の中心にある超巨大ブラックホールを回る星々の動きを詳細にとらえた | アストロピクス

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天の川銀河の中心にある超巨大ブラックホールを回る星々の動きを詳細にとらえた

天の川銀河の中心には、「いて座A*」と呼ばれる超巨大ブラックホールが存在しています。そのブラックホール周辺が、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLTI(超大型望遠鏡干渉計)を用いて詳細に観測されました。いて座A*の研究で2020年にノーベル賞を受賞したラインハルト・ゲンツェル氏らの研究です。

これらの画像には、いて座A*と周辺の星が示されています。2021年3月から7月にかけて得られたもので、星が動いているのが分かります。

画像に映る星のうち「S29」と呼ばれる星は、2021年5月下旬にブラックホールからわずか130億kmのところを秒速8740kmという驚異的なスピードで通過しました。その距離は、太陽と地球の間の距離の約90倍という近さです。S29は、これまで観測された中でブラックホールから最も近い距離を通過した星です。また今回の観測により「S300」という星が新たに発見されました。

今回の測定と画像化は、VLTIのために開発された「GRAVITY」という装置によって可能になりました。GRAVITYは、VLT(超大型望遠鏡)の4台の8.2m望遠鏡の光を干渉計という手法により連動させるものです。これにより個々の望遠鏡から得られる画像より20倍もシャープな画像が得られるとのことです。

今回の観測を、従来の観測データと組み合わせることで、いて座A*の質量が太陽の430万倍と推定されました。この値は、これまでで最も正確な推定値となっています。また、いて座A*までの距離は2万7000光年であることも分かりました。

Credit: ESO/GRAVITY collaboration/L. Calçada

Image Credit: ESO/GRAVITY collaboration

(参照)ESO