
この画像に映っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた天王星と5つの衛星です。天王星のリングも見えています。
天王星は左下で青くみえており、うっすらとリングも映っています。天王星の手前には衛星アリエルが明るい点として映り、天王星の表面にはアリエルの影が落ちています。天王星から右上へ明るい点が4つ映っていますが、天王星に近い順に衛星ミランダ、ウンブリエル、オベロン、チタニアです。
4つの衛星の明るさが予測と異なっていた

ハッブル宇宙望遠鏡を用いて行われた、天王星の4つの衛星(アリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロン)の観測から予想外の事実が発見されました。
それら4つの衛星は、地球の月と同じように常に同じ面を天王星へ向けています。研究チームは、天王星の磁気圏との相互作用によって、それらの衛星の進行方向の面(前半球)と比べて、進行方向とは逆の面(後半球)は暗くなると予測していました。磁力線に沿って捕捉された荷電粒子が、主に衛星の後半球に衝突して暗くすると考えられたのです。
しかし内側の2つの衛星アリエルとウンブリエルでは、前半球と後半球の明るさがほぼ同じでした。さらに、外側の2つの衛星チタニアとオベロンでは、予測とは逆の現象、つまり前半球の方が暗くなっていたのです。
研究チームは、微小隕石が不規則衛星(大きく歪んだ軌道を持っていたり、逆行していたりする衛星)に衝突して飛び散った塵の中を、外側のチタニアとオベロンが横切ることによって塵がそれらの衛星の表面に落ちて覆うことで暗くなっているのではないかと考えています。内側の2衛星については、外側の2衛星が塵を遮るために、前半球と後半球がほぼ同じ明るさになっている可能性があるようです。
(参考)
天王星の詳細最新画像 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測
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Image Credit: Science: NASA, ESA, STScI, Christian Soto (STScI); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI)