秒速数千kmの星風でガスが波打つ「赤蜘蛛星雲」 | アストロピクス

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秒速数千kmの星風でガスが波打つ「赤蜘蛛星雲」

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた惑星状星雲NGC 6537。NGC 6537は、いて座の方向、約3000光年の距離にある双極構造をした惑星状星雲で、「赤蜘蛛星雲(Red Spider Nebula)」とも呼ばれています。

太陽程度の質量の星は晩年になると膨らんで赤色巨星となり、やがて外層のガスが周囲へ離れていきます。中心星から放射される紫外線によって、周囲に放出されたガスが電離して輝く天体が惑星状星雲です。

NGC 6537は、周囲のガスが波打っているのが特徴的です。波の高さは最高1000億kmにも達します。中心にある高温の白色矮星から吹く、秒速2000〜4500kmもの強烈な星風によって生じたと考えられています。波自体は秒速300kmで外側へ移動しています。中心の白色矮星の温度は、少なくとも50万度と見られています。

画像は1997年9月12日に、ハッブル宇宙望遠鏡のWFPC2(広視野惑星カメラ2)で撮影されました。

Image Credit: ESA & Garrelt Mellema (Leiden University, the Netherlands)

(参照)ESA/Hubble