重力波の対応天体を探す「BlackGEM」望遠鏡と星々の円弧 | アストロピクス

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重力波の対応天体を探す「BlackGEM」望遠鏡と星々の円弧

この画像は、ESO(ヨーロッパ南天天文台)が2023年6月5日に「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開したものです。南米チリにあるESOラ・シヤ天文台で撮影されたもので、地上には3台の「BlackGEM」望遠鏡が映っています。

画像は長時間露光で撮影されたもので、夜空の星は天の南極を中心に弧を描いています。中央の望遠鏡の右側で、他よりも明るく見えている部分は天の川です。

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最終的には15台まで増設

BlackGEMは現在、3台の65cm光学望遠鏡で構成されており、最近になって運用を開始しました。

ブラックホールや中性子星が衝突すると重力波が生じます。北アメリカにあるLIGOやヨーロッパのVirgo、日本のKAGRAなどの重力波望遠鏡が重力波をとらえたときに、対応天体を検出して重力波の発生源を追跡することがBlackGEMのいちばんの目的です。発生源が特定されると、その後、ESOのVLT(超大型望遠鏡)などより大きな望遠鏡による詳細な追跡観測が可能になります。

BlackGEMは、オランダのラドバウド大学、NOVA(Netherlands Research School for Astronomy)、ベルギーのルーヴェン・カトリック大学によって建設・運用されています。望遠鏡はラドバウド大学から遠隔制御されています。最終的には望遠鏡を15台まで増設して、より広範囲をサーベイすることを目指しています。

またBlackGEMでは、観測時間の一部は高性能なサーベイ望遠鏡としても使われます。サーベイ中には、超新星やガンマ線バースト、潮汐破壊現象などの突発天体(トランジェント天体)の調査も行います。

Image Credit: Zdeněk Bardon/ESO

(参照)ESO(1)(2)