スピッツァー宇宙望遠鏡がとらえたタランチュラ星雲の画像です。タランチュラ星雲は大マゼラン銀河にある星雲で、星形成が活発に進んでいる領域です。
上の画像は、赤外線の2つの波長で撮影された画像に、それぞれ赤と青を割り当てて合成したものです。赤は4.5μmの波長の赤外線をとらえたもので、とくに高温ガスの存在を示しています。青は3.6μmの波長の赤外線をとらえたもので、多環芳香族炭化水素(PHAs)という分子からなる塵の存在を示しています。
この画像は、赤外線の3つの波長で撮影された画像に、赤、青、緑を割り当てて合成したものです。こちらでは緑が4.5μmの波長の赤外線をとらえたもので、上の画像と同様に高温ガスの存在を示しています。赤(8μmの赤外線)と青(3.6μmの赤外線)が重なってマゼンタ色に見えている領域は多環芳香族炭化水素(PHAs)からなる塵の存在を示しています。
この画像は、超新星SN 1987Aの残骸と、R136という星団の位置を示したものです。SN 1987Aは1987年に観測された超新星です。日本のカミオカンデでSN 1987Aからのニュートリノが検出され、小柴昌俊博士のノーベル賞受章にもつながりました。R136では、直径1光年に満たない範囲に、それぞれが少なくとも太陽の50倍以上の質量を持つ40個以上の大質量星が存在しています。ちなみに、太陽から最も近い恒星は4光年以上離れてたところにあり、1光年以内に恒星は1つもありません。
タランチュラ星雲は、スピッツァー宇宙望遠鏡が2003年に打ち上げられた後、最初に研究された天体の1つです。2020年1月30日のミッション終了を控えた1月27日に、ここで紹介した画像がリリースされました。2019年2月と9月に行われた観測のデータを組み合わせて作られました。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech