火星で見た流れ星

地球では、8月のペルセウス座流星群や11月のしし座流星群、12月のふたご座流星群などのように、毎年同じ時期に活発になる流星群がいくつもあります。このような流星群を見られるのは、実は地球だけではありません。この画像には、火星の夜空で見られた流星が映っています。

画像は16年前、2005年11月18日にNASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車スピリットが撮影したものです。流星は、小さな塵が大気に突入して高温になって光る現象です。地球より薄いですが、火星にも大気があり流れ星を見ることができます。

流星群をもたらすのは彗星です。彗星の通り道には、彗星が放出した塵が残されています。その彗星の通り道を地球が通過すると、彗星が残したたくさんの塵が地球の大気に飛び込んできて流星群が活発になります。たとえばペルセウス座流星群は、スイフト・タットル彗星が残した塵が元になっています。

火星でも同じようなことが起きると予測され、2005年10月と11月に探査車による観測が行われました。冒頭の画像は、そのうち11月に観測されたものです。

画像は、ハレー彗星の通り道を火星が通過すると予測された2005年11月18日に、スピリットのパノラマカメラで60秒の露出で撮影した9枚の画像を合成したものです。画像中央が天の南極になっており、多くの星が極を中心にして円弧を描くように映っています。

円弧のような星の軌跡以外の、点状の光や直線状の光は、流星あるいは宇宙線です。宇宙からやってくる高エネルギー粒子がカメラの検出器に衝突すると、点状あるいは直線状の軌跡が残ります。この画像では、流星の可能性のある光の軌跡が3本映っています。

こちらはP/2001 R1(LONEOS)彗星の通り道を火星が通過すると予測された週の2005年10月25日に撮影されたものです。1枚目の画像と同じく、スピリットのパノラマカメラを使い、60秒の露出で撮影した9枚の画像を合成したものです。中央付近に見られる長い直線状の筋は、流星か宇宙線によるものと見られています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/Cornell/Texas A&M/SSI

(参照)Planetary Photojournal(1)(2)