ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の太陽探査機ソーラー・オービターのコロナグラフMetisでとらえられた太陽コロナ。コロナグラフとは、太陽を隠して周囲に広がる暗いコロナを観測する装置です。
2020年2月10日に打ち上げられたソーラー・オービターは、6月15日に近日点を通過し、太陽〜地球間の距離の約2分の1にあたる約7700万kmまで太陽に接近しました。近日点通過にあわせて、搭載された各種機器による観測が行われました。
上の画像は、ソーラー・オービターが近日点通過後の6月21日に可視光(580~640ナノメートル)で撮影したものです。太陽の磁気活動が低下している時期に特徴的な、赤道付近に明るく左右に伸びるストリーマーが見られ、極域は暗くなっています。
こちらは冒頭の画像と同じ6月21日にMetisで撮影された画像です。紫外線(121.6ナノメートル)で撮影されたもので、コロナの中性水素原子からの放射をとらえたものです。これら2枚の画像には、太陽半径の3.2〜5.8倍の範囲が映っています。
これらの画像の空間分解能は、地上や衛星によるこれまでのコロナグラフの画像と同程度以上になっています。ソーラー・オービターは今後の近日点通過ではさらに太陽に近づき、より詳細な画像を撮影する予定です。
こちらの2枚は、2020年5月15日に撮影されたMetisのファーストライト画像です。緑が可視光(580~640ナノメートル)、赤が紫外線(121.6ナノメートル)で撮影されたものです。太陽半径の3.8〜7.0倍の範囲が映っています。
Image Credit: Solar Orbiter/Metis Team/ ESA & NASA