この画像に映っているのは、月の北極付近にあるエピヌス・クレーターの縁の一部です。クレーターはお椀のようにくぼんだ地形ですが、クレーターの円形の縁の部分は周囲より盛り上がっています。周辺はまだ夜の闇に包まれていますが、高台になっているこの部分だけが、日の出前の太陽光に照らされて明るく見えているのです。
画像は2020年3月10日、NASA(アメリカ航空宇宙局)の月探査機ルナー・リコネッサンス・オービターが撮影したものです。明るくなっているのは1.5×6.0kmほどの範囲です。
冒頭の画像よりも広範囲を映した画像です。こちらを見ると、エピヌス・クレーターの縁の一部だけがぽつんと明るくなっているのがよく分かります。
狭い範囲とはいえ、他よりも長時間、太陽光が届く場所は、将来の月探査で活用できるかもしれません。太陽光が届く時間が長くなれば温度の面だけでなく、太陽光発電によって電力を供給できるメリットもあります。
また月の北極付近には、氷が存在するとみられる永久影のあるクレーターもあります。太陽光と水という2つの重要な資源がそろうことになり、キャンプを設営するにはうってつけの場所となるかもしれません。
Image Credit: NASA/GSFC/Arizona State University