アルマ望遠鏡、惑星形成前夜の原始惑星系円盤をとらえた

太陽系には8つの惑星があり、また太陽以外の星の周りでも数多くの惑星が発見されています。それらの惑星は、生まれて間もない恒星の周りにある原始惑星系円盤の中で、ガスや塵(ダスト)が集まって形成されると考えられています。ガスとダストの円盤の中で惑星が作られると、惑星の重力により円盤にリングや隙間が形成されるようになります。ただ惑星形成がどのように始まるのか、はっきりとしたことはわかっていません。

アルマ望遠鏡で観測した、おうし座DG星を取り巻く原始惑星系円盤。のっぺりとしてリング状の模様などはみられません。Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), S. Ohashi et al.
アルマ望遠鏡で観測した、おうし座DG星を取り巻く原始惑星系円盤。のっぺりとしてリング状の模様などはみられません。Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), S. Ohashi et al.

国立天文台の大橋聡史氏らの国際研究チームは、原始星の中でも比較的若い天体である「おうし座DG星」を取り巻く円盤をアルマ望遠鏡で観測しました。その結果、おうし座DG星の周りの円盤は、のっぺりとしていてリングのような模様が見られませんでした。これは、まだ惑星ができていない円盤をとらえたものと考えられています。

複数の波長で観測を行った結果、おうし座DG星の原始惑星系円盤では、ダストの大きさが円盤の内側よりも、中心から約40天文単位(1天文単位は太陽〜地球間の距離に相当)以遠の外側のほうが比較的大きく、惑星形成の過程が進んでいることがわかりました。これは、内側から惑星形成が始まるとする、これまでの惑星形成論の予想に反するものでした。

一方、円盤の内側ではダストのサイズは小さいものの、ガスに対するダストの量は通常の星間空間よりも10倍程度高いことが判明しました。これらのダストは円盤面に沈澱しており、惑星形成の材料をため込んでいる段階だと見られます。ダストのため込みを引き金として、これから惑星形成が始まる可能性が考えられるとのことです。

惑星の痕跡のないのっぺりとした原始惑星系円盤で、ダストの大きさや量を明らかにしたのは、今回の研究が世界で初めてです。大橋氏は「惑星形成の初期条件を明らかにしたという点で非常に重要な成果だ」としています。

(参照)アルマ望遠鏡