この一連の画像には、地球近傍小惑星(NEA)2016 AJ193の回転している様子が映し出されています。2021年8月22日に、アメリカ、カリフォルニア州にあるゴールドストーンの70mアンテナで観測されたレーダー画像です。
2016 AJ193の観測より1週間前の8月14日、「2021 PJ1」という直径20〜30mの小さなNEAが、地球から約170万kmのところを通過しました。この小惑星は、惑星レーダーで観測されたNEAとしては1000個目という節目となる小惑星でした。冒頭の画像で紹介した2016 AJ193は、それに続く1001個目のNEAです。
レーダーを使って小惑星がはじめて観測されたのは1968年でした。その時の小惑星「イカロス」の観測以来、レーダー技術はNEAや地球に接近する彗星の観測に用いられてきました。その観測データは、小天体の軌道を精密に計算することなどに役立ちます。
1000個目の2021 PJ1は小さすぎて画像は取得できませんでしたが、それでも速度を高精度で測定したことで、将来の動きについての知識が大幅に向上しました。
1001個目の2016 AJ193は、地球から約340万kmのところを通過しました。2021 PJ1よりも遠方でしたが、2016 AJ193は直径が約1.3kmと大きかったことで画像を撮影することができました。画像を見ると、表面の凹凸などかなり細かいところまでわかります。また3.5時間で自転していることもわかったほか、速度などを測定したことで軌道計算の不確実性を低減するデータが得られたとのことです。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech
(参照)NASA