美しい弧を描くタイタン大気上層のもやの層

土星探査機カッシーニがとらえた、土星最大の衛星タイタンの南極域の画像です。紫色に見えているのは、タイタン上空の靄(もや)の層です。靄の層は2つに分かれて見えており、外側の層は大気中の高いところに浮かんでいるように見えています。外側の靄の層は、高度500km付近にあります。

画像は338ナノメートルを中心とした紫外光に感度のある分光フィルターを使って撮影されたもので、擬似的に着色されています。淡いオレンジ色は私たちが目で見た時の色に近く、靄の層は紫色にして、また明るくすることで見やすくしています。大気上層部に存在する靄の粒子は、可視光や赤外線など長い波長よりも短い波長の光を効率的に散乱するため、観測には紫外線が適しています。

タイタン上空の高度600km以上の高層大気では、太陽からの紫外光によってメタンや窒素の分子が分解されます。それにより生じた物質が化学反応によって炭素や水素、窒素を含む複雑な有機分子が生成され、それらが結合して高層の靄に見られる小さな粒子を作ります。小さな粒子どうしが衝突してくっついて大きな粒子となって落下していき、大気下層の厚い靄の層が維持されます。

画像は2004年7月3日に撮影されました。撮影時、カッシーニ探査機はタイタンから約78万9000kmの距離に位置していました。

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute

(参照)Planetary Photojournal