スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)から、これまでで最も広大な宇宙の3D地図が公開されました。これは20年以上にわたり宇宙をマッピングしてきた成果をまとめたものです。
SDSSは、宇宙の地図づくりを目指して1998年から観測を開始したプロジェクトです。2014年からは第4段階となるSDSS-IV(2014〜2020年)が進められてきました。
比較的知られている宇宙初期と最近における宇宙膨張の歴史の間には、110億年の空白期間がありました。SDSS-IVのプロジェクトの1つ「拡張バリオン振動分光サーベイ(eBOSS)」では、110億年分をカバーする200万以上の銀河やクエーサーの詳細な測定が行われました。今回リリースされた地図にはそのデータが含まれており、従来のSDSSでの観測とあわせて非常に正確に宇宙膨張の歴史を調べることが可能になりました。
この地図で明らかにされた宇宙の歴史は、およそ60億年前に宇宙の膨張が加速し始め、それ以来、加速し続けてきたことを示しています。この宇宙の加速膨張は、「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と呼ばれる正体不明のエネルギーによって引き起こされていると考えられています。
また、eBOSSチームによって測定された現在の宇宙の膨張率(ハッブル定数)が、近くの銀河での測定値よりもおよそ10%低いことが分かりました。この不一致について広く受け入れられている説明はまだありませんが、一つの可能性として、初期宇宙からのいまだ知られていない物質やエネルギーの痕跡なのかもしれないとのことです。
Image credit: Anand Raichoor (EPFL), Ashley Ross (Ohio State University) and the SDSS Collaboration
https://www.sdss.org/press-releases/no-need-to-mind-the-gap/